グルニオンラン、というイベントがあります。英語で書くと"Grunion Run"。マラソンとかそういうイベントではございませんでして、グルニオンというお魚が走るのを眺めるイベントです。「魚が走るとはなんぞ?」と思われる向きもありましょう。まあ実際には走りませんで、はねます。
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それは、まだ水も冷たい4月の満月の夜にやってきます。。。。。

なんてもったいぶってないでちゃんと解説いたしますと、グルニオンという魚は砂浜で産卵する習性があり、3〜6月の新月と満月の後の満潮に合わせて波打ち際に大量に押し寄せるのです。
こんな感じ。 

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グルニオンが来る有名スポットであるカブリロビーチには小さな水族館があり、ここで毎年グルニオンラン鑑賞イベントが開催されます。 

Meet the Grunion (Cabrillo Beach Aquarium)
 

ここの水族館はロサンゼルス市が経営していて普段は無料で入れますが、このイベントは有料です。それでも大人$5と格安。ただお金を払わなくてもグルニオンランの鑑賞自体は無料でできます。
ではお金を払うと何があるのかというと、まずグルニオンランについての紹介ビデオや説明があります。そしてメインはグルニオンの孵化実験。

グルニオンは潮位がいちばん高くなる時、つまり大潮の満潮時に波打ち際の砂の中に産卵することで卵が食べられるリスクを減らしています。ただ魚自身が食べられては仕方が無いので、大潮が夜の時間になるこの季節を狙って産卵をするようです。

卵は約9日間で孵化します。孵化には海水と振動による刺激が必要です。これは孵化したのに水がなくて干上がってしまうことがないよう、波が卵にかかったときに孵化するシステムになっているからです。そしてこれを人工的に再現するのが孵化実験。
砂と一緒に卵が入った小さな瓶が1家族1つ配られ、そこに海水を注いでくれます。あとは手で蓋をして振り混ぜてやると、卵が次々に孵化します。これはなかなか感動します!これのためだけにお金を払ったといっても良いくらい。


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この日はイベントが20時にスタートし、満潮が22時半ということで、ビデオを見たり孵化実験をやったりしたあともだいぶ長い時間、ヒマになります。この間、水族館の中を見学するもよし、車の中で寝るも良し。娘は昼寝し損ねたので車の中で仮眠をとりました。

そしていよいよ満潮、グルニオン到来!みんなでいそいそとビーチへ向かいます。水族館のスタッフのかけ声で砂浜をライトで照らすと、数匹のグルニオンが波打ち際に。上がる歓声、嬌声。ただし大声や光はグルニオンを驚かせてしまうので、少し見たら全員ライトオフに。たまに次のかけ声が待てなくてライトを照らすうっかりさんがいますが、周りから「消せー!」と言われて消すと言うことを繰り返しながら待ちます。
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30分ほどそんなことを繰り返し、この調子じゃすぐ近くで見るのは無理なのかなーと思っていたら、「じゃあ砂浜に出ていいよ」とのお達しが。みんな大喜びで波打ち際へ群がります。その頃にはグルニオンの数はかなり増えていて、みんな大はしゃぎ。たまに大きな波が来てまた大はしゃぎ。僕も大はしゃぎで写真を撮りまくります。暗いので他人の懐中電灯が頼りでした。 
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砂地に下半身を潜らせて産卵する雌と、それに子種をぶっかけてやろうと周囲を徘徊する雄の図。

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波に流される途中で僕の足にひっかかったグルちゃんズ。

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大量のグルちゃんズ。

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そこら中に打ち上げられた体のグルちゃんズ。


動画で見ると、みんなの興奮具合がより伝わります。


さて、こうして見ると、グルニオン捕り放題(拾い放題)じゃん!という感じがしますが、4・5月は禁漁期で捕ることはおろか触ることも禁止されています。触ってる人いましたけど、ダメです、絶対。一応食べられるみたいですので、どうしても食べたい人は6月まで待つ必要があります。ちなみに捕まえるためには16歳以上はFishing Licenseが必要で、また道具を使うことは禁じられているので手づかみONLYです。

自然の神秘を肌で実感できるイベント、グルニオンラン。チャンスがある方は是非行ってみて下さい!感動しますよー!


おまけ1)グルニオンの生態について
グルニオンは南カリフォルニアとバハカリフォルニアの太平洋岸にしか生息しないとても珍しい魚で、しかもこのグルニオンランの時以外は魚釣りで釣れたり漁師の網にかかったりせず、どこで何をやってんだかわからないそうです。
出現するのは上では満月・新月と書きましたが、正確にはその翌日から2、3日の間で、満潮から2時間の間だけだそうです。ピークは満潮から1時間後。
1匹の雌は一度に2〜3000個の卵を産み、シーズン中に5〜6回程産卵に来ますので合計で15,000〜18,000個くらいの卵を産みます。

おまけ2)イベント参加について
駐車場が満杯になってしまうので、遅くとも水族館のイベント開始時刻までには行きたいところ。駐車場料金は$1/H、22:30以降は無料。
チケットは事前購入しておくと並ばずに入れます。入場者数制限があり、遅く行くと入れなくなるので注意。ただし本文にも書いたとおり、水族館に入れなくてもグルニオンランの鑑賞自体は自由。
イベントにおけるビデオ上映は開場から30分後、1時間後、1.5時間後、2時間後の4回。入場した順にチケットが配布され、チケットの色によって参加する上映会の時間帯が決まります。
夜は大変冷えるので、防寒具は必須。それと足が濡れても良いようにビーチサンダル、足を拭くタオル、観賞用の懐中電灯があればOK。ところどころに砂を洗い流す水道があるので、そこで足を洗ってから拭くといいでしょう。