放射能がものすごく恐ろしく怖い、なんかとんでもない病原菌みたいに思われてる方が多いようなのだが、それは違うよ、という話。

まず、放射能ってのは放射線を出す能力、ってことで、物質じゃないです。だから厳密に言えば怖がるべきは放射線なのです。まあこんな言葉遊びはどうでもいいのですが、一応ね。

さて、放射線ってのはなにかというと、エネルギー波です。日光やらそこに含まれる紫外線とかと一緒です。宇宙にいけばそれはそれは凄まじい量の放射線が飛び交っています。ね、なんかそんなに怖いもんじゃないかもしれないな、って思えてくるでしょ?じゃあ他のエネルギー波と何が違うのか、というと、パワーが強いです。

ではパワーが強いと何がいけないのか。何で放射線に当たると良くないのか。それは、細胞が壊されちゃったり、DNAが傷ついて細胞分裂に失敗しちゃったりするからです。妊婦さんがレントゲンNGなのはそういう事情です。お腹の中で胎児がすんごい勢いで細胞分裂して分化してるところに放射線が当たると、分裂や分化に失敗しちゃって奇形になってしまうリスクがあったり、最悪の場合は死にいたるからです。
で、成人でも紫外線に当たり過ぎると皮膚がんになるリスクが高まるのと同じように、放射線も浴び過ぎるとガンになるリスクは高まります。では大量に放射線を浴びた人が白血病になるのはなぜかというと、血をつくる脊髄がやられてしまうからです。大量ってどれくらいか。これは諸説あるようですが、成人男性の場合、500mSVくらい浴びると白血病になる可能性が高いようです。きちんとしたソースが見つけられなかった。。。orz あと、影響のそういう性格上、短期間で大量に浴びるのと長期的に少しずつ浴びるのでは前者の方がリスクは圧倒的に高いです。

要するに何が申し上げたいかというと、ちょびっと浴びたくらいじゃがっつり日光浴(と一緒とは言わないがw)したのと大差ないですよ、と。

でもさ、でもさ、水道にも放射性ヨウ素が入ってたじゃない?あれ飲んだらどうなるの?白血病になっちゃうの?死ぬの?と心配されるご仁も多くおられたようで、お水は一時は砂金のように貴重なものになってました。
そのお水、検出されたのは130bq/kgでした。これを1リットル飲むと2.86μSVの放射線を被曝します。μはmの1000分の1。つまりこのお水を1トン飲むと2.86mSVも被曝しちゃいます。厳密に言うと、お水に含まれているヨウ素を完全に体内に取り込んだ場合の被曝量が先の数字です。しかし日本人の場合、日常的に昆布等からヨウ素を摂取しているので、実際に体内に取り込まれるのはごくわずかです。・・・飲んでも大丈夫じゃね?
ただし、乳児の場合はまだ体内にヨウ素の備蓄が少なく積極的に取り込んでしまうこと、そしてまだまだ絶賛細胞分裂中なので被曝した際に受ける影響が大人とは段違いです。そのため、乳児はやめといた方がいいぜ、ということになりました。おっさんおばさんじいさんばあさんは細胞分裂(乳幼児に比べて)ほとんどしてないので買いこむ必要はないんだぜ!

上記で換算するのに使った計算式、「放射性物質が飛来!大変!死ぬ!」って時にもざっくりとした影響を計算できるので便利ですので下にリンク先参照。ちなみに経口の場合と吸入の場合で受ける影響が違うんですよ。吸入しちゃうと肺から入っちゃうので出ていってくれませんから、より大きな影響を受けます。だからって吸い込む=死ぬじゃないですから、どんくらい飛んでるか理解した上で色々しましょう。

読むと参考になるもの
国立がん研究センター
普段から自然に浴びている放射線の量を一目で比べられる巨大なインフォグラフィクス