気まぐれ思いつき日記

2012年4月から妻の海外赴任に伴い主夫業と育児に励む40代男性の日常。2年間ずつバンクーバー、LAに滞在、2016年8月末に帰国。現在は主夫と会社員とライターの三足のわらじで頑張ってます。バンクーバーやLAと関係ないことも多々あります。

カテゴリ: 本の感想

ノンフィクションの本を読んで久しぶりに興奮しました。


この「奇書の世界史」は、書かれた当時は自然に受け入れられたものが時代を経て「とんでも」になっている本と、逆に当時は「とんでも」だったのが現代科学の礎になってる本を紹介しています。

前者の「当時は受け入れられた本」の代表格は、この本のトップバッターを務める「魔女に与える鉄槌」です。魔女の恐ろしさを訴え、魔女を見つけ出す方法や魔女と自白させるための拷問方法などを綴ったこの本は、15,16世紀における魔女狩りを扇動する役割を大きく担いました。しかし、なぜそこまでの影響力を持ったのでしょうか。

「奇書の世界史」の面白さや凄さは、紹介する本がどういう時代背景に生まれ、どういう経緯で発行されたのかというそのストーリー性にあります。ただの「とんでも本」紹介ではないのです。この「時代背景」と「発行の経緯」が生み出した魔法に、その時代やその後の人たちが時に翻弄され、時に新たな時代を切り開いてゆく唯一無二の物語がとにかく最高に面白いのです。

「魔女に与える鉄槌」は、
1)教会から与えられたお墨付き(本当は違う本に対してだが、その本を序文として採用して全体に対するお墨付きのように見せかけた)
2)グーテンベルクによる活版印刷の出現
3)ペストの流行や天候不順(不安が蔓延し、「魔女」を犯人にする空気が醸成された)
という3つの要素が加わって大きな影響力を持ち、10万人もの犠牲者を産みました。

続いて紹介されるとんでも本の「台湾誌」は、あるイギリス人が噂や書籍で見聞した内容に自分の妄想をたっぷりと込めて書き上げた「インチキ情報誌」です。曰く「台湾の庶民は上着一枚をはだけたまま着る。尹部は金属製の覆いでのみ隠す」など無茶苦茶が書かれています。
taiwan
ですが、当時のイギリスに台湾を知る人はほとんどおらず、その荒唐無稽な内容も大いに信じられてしまったんだとか。
しかし嘘はいつかはバレるもの。その嘘を暴くのは、誰もが知る天才科学者ニュートンとその盟友ハレー、あのハレー彗星のハレーです。こんなところでそんな有名人の名前が出てくるというのも興味深いですし、それだけ影響力がある本だったという証左でもあります。

他にも、未だ解読されない暗号本「ヴォイニッチ手稿」、新渡戸稲造も寄稿した野球disり本「野球其害毒」、論文捏造は小保方さんだけじゃないぞ「フラーレンによる52Kでの超電導」、郷土史捏造マシーン「椿井文書」などなど、次々に登場するとんでも本の数々。

事程左様に「とんでも本」とそれにまつわる物語はとても面白いのですが、その逆、「当時のとんでも本」が切り開く未来の物語はある種の快感さえ感じます。特にジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」から始まる月への挑戦は、ものすごく簡略にまとめられているにも関わらず興奮と感動を禁じ得ません。この話だけで一冊の本として読みたいくらいです。

ーーー

残念ながら今年はこれから「STAY HOME」なゴールデンウィークを迎えることになりますが、せっかくのおこもり期間に読書などどうでしょう?その時に手に取る1冊として強くオススメできる本です。


【おまけ】
先日、たまたま家族でバックトゥザフューチャーシリーズを観ました。その中でドクがジュール・ヴェルヌの本についてアツく語っているシーンがあって、これは、少年がこの本を読んで科学者を志すという、アポロ計画へのオマージュだったのかなあとか思いました。いま観ても面白いし、Amazon Primeで無料で観れますので、ゴールデンウィークにシリーズ3本一気見するのも良いかもしれません。
バック・トゥ・ザ・フューチャー (字幕版)
クローディア・ウェルズ
2013-11-26

僕は走るのが嫌いで、ジム行ってもウエイトトレーニングだけやるか、有酸素運動やるなら水泳、ってスタイルだったのですが、やっぱり有酸素もやったほうがいいよなあ、と思いまして、ランニングマシンで走ることにしました。

僕が行ってるジムのランニングマシンは画面がついてて、走るスピードに合わせて画面の中でアメリカの自然公園の景色が流れていくのですが、すぐ飽きます。ここ東京だし、ハムスターみたいに同じとこ足踏みしてるだけやし。

ふと隣に目をやると、みんなスマホで動画見てるのね。賢いわ。「家でテレビ見ながら運動ができる!」っていうズボラな主婦向けのダイエット器具みたいであれですが、溜まったアニメやドラマの消費と有酸素運動がいっぺんにできちゃうってすごくない?

ということで、まだ数回しかやってませんが走りながら動画見てます。今はゴールデンカムイ見ながらチタタプしてヒンナヒンナ。ゴールデンカムイまじ面白いからみんなマンガ読んだ方がいいよ!




なんの話だかわかんなくなりましたが、やっぱり運動っていいなって思いました。




僕の大好きな平坂さんの新刊です。新刊て言っても出たの去年ですけども。
過去の二作と同じように色々な生き物を捕まえて食べています。それも、一般人が食べようと思わないものがほとんどです。タイトルが「喰ったらヤバいいきもの」ですから当然といえば当然ですが。

食べられる対象となるいきものは、前の平坂さんを紹介したエントリーで写真を載せていたクラリアスという香港のドブ川に住んでいるナマズみたいなやつをはじめ、オニダルマオコゼやハブクラゲなど毒のある生き物、一部では食べる文化が存在する(けど見た目は食欲を全くそそらない)カミキリムシの幼虫やフナクイムシ、はては電気ウナギにイグアナ、ハキリアリが培養したキノコなどバラエティに富んでいます。

平坂さんのチャレンジングな姿勢とライトタッチの文章がマッチしていて、さらさらと読めます。チャレンジングというのは言い方を変えるとあほだなーということなので、読んでいてニヤニヤするところも多々あります。美味しくないものを食べた時の表現と変顔も見所。

生き物が好きな人には強くおすすめしたい本ですが、虫を食べてるという話を聞くだけで顔をしかめる人は読まない方がいいかもしれません。自分が食べるわけじゃないですし、調理法や感想を読むだけですので面白いですけどね。 





まだ2018年は始まったばかりですのでこんな表現もなんですが、今年一番テンションが上がった本です。 内容はタイトルのまま、生き物を捕まえて、食べます。捕まえる対象は干潟に住む貝やシャコ、波打ち際にくるカニなど身近な生き物がメイン。

生き物が好きすぎて大学でも生物学を専攻した僕ですので、この内容に惹かれないわけがないわけです。生き物を捕まえて食べるという本では以前に紹介した平坂さんの本がありますが、こちらが外来種に絞ったややマニアックな生き物であることに対しこの本は上述の通り比較的身近な生き物を中心に取り上げられています。捕まえ方も、ほとんどが釣り具さえいらないもの。当然カジュアルに捕まえることができるので試してみようと思うならこちらです。

取り上げられているエピソードの一部はデイリーポータルZ に記事として掲載されていますので、ちょっと気になる方はこちらのエントリーを読むとどんな本かわかるかと思います。例えば穴に塩を入れてマテ貝を捕まえる、とか。

このマテ貝を塩でとるだとかシャコを筆で釣るとか、知識としてそういう方法があることは知っていましたが、本当にできるだなあと感心すると同時に、これは是非自分でもやってみたいと思わざるを得ません。近場でできるものから、少し遠出をして富山や石川でのホタルイカ掬いやタコ釣りも、もう行ってみたくて仕方がありません。

幸い、うちの娘は生き物大好きでいまのところは手づかみで生き物を取ることにさほどを躊躇しないタイプですので、成長して「無理。キモい。」などと言うようになる前に一緒に捕まえに行きたいところです。 

この本は生き物が大好きな人全てに読んでもらいたいです、きっと自分で捕まえに行きたくなりますから。そしてタイミング次第では、夏休みの宿題の自由研究とかそのような需要にも応えられるのではないでしょうか。

あー、生き物捕まえに行きたい!本には出てませんがこれとかめっちゃくちゃやってみたい。ミミズハゼは日本全国どこにでもいるらしいので、富山や鳥取まで行く必要はなさそうです。良さそうな砂利浜を探さなければ。





この本を選んだのは結構前のことなのでややうろ覚えの部分もあるのですが、最近翻訳者の村井理子さんの対談を記事で読んで思い出したのでさらっと書いてみます。(はっきり言ってこの後の僕の文を読むより、この対談を読む方がずっと面白いし、考えさせられるので、未読の方は是非読んでみてください)


ーーー

この本に出てくる「ダメ女たち」は様々な事情で料理が苦手な女性です。年齢も家族構成もバラバラですが、料理に対して苦手意識を持っているというところだけは共通しています。そんな彼女たちに対し、著者は料理は決してとっつきにくいものではないということを料理教室を通して少しずつ伝えていきます。最終的に、全員ではないけれども多くの女性が料理することに対して抵抗をなくしました、と書くとなんでもないような話なのですが。


面白いのは、舞台がアメリカはシアトルなので当たり前なんですが、色々とアメリカンな世界だなーということ。料理教室を開くきっかけになったのは、スーパーで買い物をしていた女性のカートの中に著者が興味を持って話しかけたことで、日本(少なくとも東京)でやったら不審者扱い間違いなしです。出てくる料理ももちろんアメリカン。そんで、「ダメ女」のみなさんも、習いに来てるのに「こっちのやり方が好き」みたいなこと言って言うこときかない人がいたり、途中で帰っちゃう人がいたり。そもそもの食生活も、日本人の(僕がイメージする)料理ができない人とは違って、ああ、あっちの人ってそういう食生活の人いるよね、って感じ。やっぱアメリカ人ってアメリカ人だわ。


この本を読んで、料理が苦手であることに劣等感を抱いている人たちがすごく励まされたようで、著者のファンミーティングは満員御礼だったそうです。すげー。でも気持ちわかります、出てくる人たちが料理苦手な理由も人それぞれで、読者で料理が苦手な人もきっとどれかに当てはまるんじゃないのかな、って。で、その自分を投影できる登場人物が少しずつ料理に前向きになっていくところを読むときっと勇気付けられるんじゃないかと思います。自分もこの方法ならいけるんじゃないか、ってなったんじゃないでしょうか。

ドキュメンタリーであり、自己啓発本であり、ちょっとした料理本でもあり、いろんな側面で楽しめる本でした。


ふと思ったんですが、これって、ドラマ化したら面白いんじゃないかなーって。日本のテレビ局が日本風に練り直してもいいけど、つまんなくなりそうだからNetflixとかAmazonあたりが作ってくれないかしら。

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室
キャスリーン・フリン
きこ書房
2017-07-24


おまけ
翻訳者の村井理子さんは「ぎゅうぎゅう焼き」で有名な方です。簡単(肉と野菜を重ならないように並べてオリーブオイルと塩胡椒をぶっかけてオーブンで焼くだけ)で美味しくて良いですよ、ぎゅうぎゅう焼き。
ちなみに僕が彼女を知ったのは「ずぼらプリン」というプリンのレシピを通してでした。村井さんの名前は出してませんが以前にブログに書いてます。こちらも簡単なのでおすすめ!




↑このページのトップヘ